子どもの本からミステリィまであまりジャンルにはこだわらずに本を読むタイプですが、作者にはこだわりがあります。お気に入りの作家と出会うと全作品を読まなければ気がすまないタイプのようです。
 ジャンルとしてはやはりミステリィがもっとも多く、どちらかといえば「本格好き」だと思っています。社会派の松本清張より横溝正史が好きで、金田一シリーズは全て読みました。翻訳物としてはヴァン・ダインは全作を、クロフツもほとんど読みました。エラリー・クイーンは前期の国名シリーズは読みましたが、後期の作品にはどうしてもなじめずに途中で投げ出したままの状態です。「本格」以外ではディック・フランシスの競馬シリーズやE・S・ガードナーのペリー・メイスンシリーズも全作読了しています。
 残念ながら「本格ミステリィ」は90年代以降行き詰まりを見せ、お気に入りの作家(綾辻行人や法月綸太郎など)たちが寡作になってしまったため、宮本輝や内田康夫の作品ばかり読み漁る時期が長く続いいていました。勿論、島田荘司作品は欠かさずに呼んでいます。また、新しい作家探しの目的で「乱歩賞」受賞作を読み漁る中から、高橋克彦や東野圭吾の作品と出会えたのは幸運だと思っています。

 

 子どもたちの活字離れが問題になって久しいのですが、どうしてこんなに子どもたちの活字離れが進んだのでしょうか?
 TVゲームと読書を比べれば、子どもがTVゲームを選ぶのは当たり前です。今の子供たちにとって「読書」とは教科書や参考書を読むことと同義なのかもしれません。それは私たち大人にとっても同じことです。自分に興味のない「読書」を強いられるのは誰にとっても苦痛なのですから・・・
 もし、国語の教科書にナルニア国物語やハリー・ポッターやロード・オブ・ザ・リングやバーティミアスなどが取り上げられていたら、子供たちは受験勉強そっちのけで「読書」に精を出すのではないっでしょうか?中には「映画」で見たからいいやって子もいるかもしれませんが・・・
 ファンタジーやミステリィがなぜ国語の教科書に載らないのか?それは文科省が子供たちに受験勉強に専念させるための策略かもしません(笑)ならばTVゲーム禁止例も出そうなものですよね。教科書問題というといつも社会科の教科書ばかりが取り上げられますが、母国語である国語の教科書を面白くする工夫が必要なのではないでしょうか?全てをミステリィやファンタジー作品にしろなどと言うつもりはありませんが、各学年で1・2作は子どもの興味を引く面白い作品があってもいいのではないでしょうか?
  最近の本格ミステリィはメタ・ミステリィやアンチ・ミステリィと言われる作品が増え、マニアックな傾向が著しくなってきているような気がしています。脳科学や遺伝子工学はもちろん、多次元のパラレルワールドやドッペルゲンガーのような多重人格といった、現実世界でもまだまだ解明されない謎に魅せられたミステリィ作家が増えていくことが予想されます。私自身もダン・ロイドというトリニティ・カレッジの哲学教授が書いた『マインド・クエスト(意識のミステリー)』を読むに至って、フッサールの現象学の勉強を始めるはめに陥っています。というのも、21世紀の日本のミステリィはこうした「意識のミステリィ」へも踏み込んでいかざるを得なくなるような気がしているからです。
 1841年にポーの『モルグ街の殺人』が世にでてから1世紀半、本当にミステリィは進化してきているのでしょうか?科学捜査の進歩によって探偵はその存在価値を失いつつあります。毛髪のDNAから探偵が逮捕されるなどという事態も十分に予想される時代なのです。しかし、いかに科学万能の時代とはいえ、迷宮入りする事件がなくなったわけではありません。脳科学が進んだとはいっても、脳の機能の数パーセントが解明されたに過ぎないのです。まして、「意識」ということになると、科学者や哲学者でさえお手上げといった状況のようです。
 フーダニットで「動機」から犯人を割り出すとったミステリィは最早形骸化しています。「動機」とはまさに犯人の「意識」の領分で、犯人が黙秘したり、嘘をいったりすれば、第3者に解るはずがないのです。陪審員制をとっているアメリカで、弁護士しだいで有罪の人間が無罪になるケースが多いのはそのためです。だから、アメリカでは物証に重点がおかれるのです。CSIのようなドラマが高視聴率になるのはそのためです。
 日本でも、森博嗣作品のように初めから「動機」を棚上げして、物証のみを積み重ねることで科学的に推理できる作品や、麻耶雄嵩のように最後まで「動機」が明確に理解できない作品が発表されるようになっていますが、こうした傾向はますます高まっていくでしょう。
 この”Mysterys"ではミステリィの楽しみ方は勿論、ミステリィとは何なのか?そしてミステリィはこれからどこに向かって行くのか?などなどを皆さんと一緒に考えていきたいと考えています。
    time

・ Hello ・