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キメラとはギリシャ神話に登場するライオンの頭にヤギの胴体、ヘビの尻尾を持つ生物である。その姿が不可解で説明しにくいことから、「訳の解らないものごと」の例えにされることがある。
そこから転じて、最近キメラは生物学、遺伝子工学において2個以上の胚に由来する細胞集団から形成された個体を意味するようになっている。つまり同一個体内に異なった遺伝情報を持つ細胞が混じることになる。有名なものにニワトリとウズラのキメラがあるが、植物では接ぎ木を行った場合にこの現象が起きることがある。
本来通常の生物個体は、その体をつくっているすべての細胞は全く同じ遺伝子セットを核内に持っている。
これは、1個の細胞である受精卵が細胞分裂と細胞分化を繰り返してでき上がったのが生物個体の体であるため、当然のことながらそれらの細胞は同じ染色体と遺伝子を持つクローンであることになる。これに反して、たとえば接木をした植物は体の部分によって違った遺伝子セットを持つ細胞が一緒になった個体であるため、この場合はキメラであるといえる。
動物の場合には、もしラットの骨髄細胞を移植されたヌードマウスが存在すれば、マウスとラットの(造血系組織の)キメラということになる。同じ動物種のなかでも異なった近交系統のマウスの細胞を持つマウスはキメラであるし、近交系ではない動物の場合は、2個体の細胞が共存する動物はすでにキメラ動物である。 |
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