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すべてがFになる(2) 森 博嗣
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この小説は綾辻行人氏、法月綸太郎氏、我孫子武丸氏、有栖川有栖氏というそうそうたるメンバーがこぞって賞賛していることを考えると、久々に現れた本格派のミステリと言えるのでしょう。我孫子氏の「ずっと8ビットだったミステリの世界もこれでようやく32ビットになった。」という賛辞よりも、綾辻氏の「本格パズラー!!」という方が正確なのではないかと思っています。
ただ、10年前の作品とは思えないほど、コンピュータやOSやネットワーク技術が詳細に描かれていることには驚かされました。10年前といえばまだWindowsが95の時代でインターネットがパソコン通信と呼ばれていた頃のはずです。作者の森氏はMac党のようでWindowsのウの字も出てきませんが・・・私たちの世代はともかく、これからの「デジタル・チルドレン」はこうした小説を好むようになるのでしょうね。 。 |
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正直まだ2冊しか読んでいない者としては、評価は難しい状況です。ただ、「すべてがFになる」という謎が解かれた時にはなるほどと唸らされたことは確かです。10進法でしかものごとが考えられない文系頭ではとうてい解けないパズルでしょう。犀川・西之園コンビの活躍が期待されます。とはいえ、ミステリ作家としては例外的に多作なため、最後まで読みきれるかどうか、全く自身がありません。
それでも「現実の世界の膨大なデータ量。ほとんどが不必要で意味のない、捨てられるだけのために生まれてくるデータごみはどこにでも落ちている。現実の世界は、余分のデータで汚れている。純粋なものはない。すべては複雑すぎて、曖昧になり、本質が隠される。単純なモデルは疎まれ、空論空論と非難される。それがデータで埋もれた現代である。」という表現はきわめて新鮮に感じられました。「デジタル・チルドレン」に引き渡す前に、私たち親世代もこうした認識を持たなければいけないような気持ちにさせられました。そうしなければ、子供たちから10進法オヤジなどと揶揄されることにもなりかねません・・・。 |
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「大きな岩が長い年月をかけて砕かれ、こうして生みから吐き出されたように浜に集まってくる。水を吸うことを覚え、流れることを覚えて、変化することを覚えるごとに、小さくなるんだ」とか「思い出は全部覚えているけどね、記憶は全部は思い出せないんだ」とか「神の作ったバグこそ、人類といえる」といった科学者ならではのものの見方・考え方・表現方法はこれまでのミステリにはなかったもので、文系頭の自分を痛感すると共に、とてもいい刺激になりました。
情報化社会では、どうしても自分の指向や思考にあったものばかりを選ぶ傾向が強くなります。ともすれば偏向しがちな指向や思考を変えてくれるという意味でも、森氏のような理系作家の登場は大いに歓迎したいと、今は考えています。 。 |
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