優しい時間(2)

 

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  しかし、『優しい時間』は「癒し系」などという安っぽいドラマではない。このドラマは冒頭から母を死においやった息子拓郎と、最愛の妻を失った父親勇吉との葛藤が描き出されている。
拓郎「僕は、一人で生きて行きます」
間。
勇吉「(かすれて)そうか」
拓郎「――」
勇吉「それじゃお前に少しまとまった金をやろう」
拓郎「――」
勇吉「それでお互い、もう逢うまい」
拓郎「別に逢わないってわけじゃないけど」
勇吉「(震える)お前は今はっきりとそう云ったぞ」
拓郎「――」
勇吉「少なくとも父さんにはそうきこえた」
拓郎「――」
勇吉「お前は――母さんを死なせた上に――ショックなことを俺に向かって云った」
拓郎「――」
という具合に…
 父勇吉はまさに団塊の世代の象徴のように、仕事一筋で生きて来た。結果、商社のニューヨーク支社長まで勤めることになるが、海外への単身赴任が長く、息子拓郎の養育はすべて妻であるメグに託されていた。そこへ青天の霹靂のように起きた妻の交通事故死。しかも加害者は息子の拓郎である。勇吉は商社を辞め、家も処分し、まとまった金を拓郎に渡すと、愛妻メグの故郷である富良野に引きこもり、喫茶店を開き、静かな生活を始める。
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