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チームバチスタの栄光(3) |
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| 「こういうデリケートな手術では、機械出しのタイミングが一つずれらだけでも、致命的なエラーにつながる可能性がある。そういう小さなエラーを吸収してくれる優秀な外科スタッフがチームの助手にいないから、なおさらです」と白鳥が第一助手の酒井に言うシーンもありましたが、同じメンバーで行われた南アフリカのゲリラの子供の時は見事に成功しているので、看護師が変ったことが原因ではなかったことは最初からはっきりしていたのです。 分かっていながら、相手をわざと怒らせ本音を田口に読みとらせるというのが白鳥独特のアクティブ・フェーズというもののようです。 さらに「オセロと同じです。犯人は黒。共謀関係が成立すれば相手と結ぶラインも黒です。共謀関係がなければ白。手術室という限定された空間では白であることは、黒に対する監視の増加に直結します。医療ミス、もしくは殺人という黒の行為に対し、白は阻止のための強力なチェック機能として作用します。ここは、そういうストリクトな場なんです。だからこそ、共謀関係の見極めは重要です。そのために最も効力があるのが、ダブルチーム・ヒアリングです。この手法を適用すれば、反射消去法が極めて厳格に成立するフィールドになるんです」と白鳥に言わせたりもしています。共犯説で一旦読者を煙に巻こうとしたようですが、変則的な倒叙小説と考えれば、殺人の方法の解明だけで充分ミステリィとして成り立つのですが・・・ この白鳥圭輔というキャラクターがこの小説を面白いものにしていると言っても過言ではないでしょう。白鳥がホームズで田口がワトソンといった役回りと思えばいいでしょう。こうして二人は事件解決に向かって行くのです。そして30例目の患者の死の際に、白鳥はAi(Autopsy imaging)という解剖前のMRI検査をし、死因と犯行法を見つけ出すのです。 「この中に、脳幹部近傍に劇薬を注入して患者を殺したヤツがいる。脳幹部近傍へのルートは、エピドラチューブ(硬膜外麻酔)を深く挿入すれば確保できる。衆人環視の中、そんなチューブを入れてルートを確保し、そこに劇薬を注入できるヤツはただ一人。そいつは毒薬を手に持っていても怪しまれない。術中にエピドラチューブをいじっても見咎められない。そんなヤツがここに一人だけ、いる」と最後に白鳥は指摘するのです。 |
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| 実際には27例目の術中死の時にしっかりと解剖をしていれば、後の2件の事件は起きなかったかもしれないのです。『白い巨塔』でも里見医師が大河内教授に病理解剖を依頼しなければ、財前五郎の過失が問われることはなったことを思い出して下さい。 病死の場合は事故死や殺人と違い行政解剖や司法解剖は義務付けられてはいないのです。あくまでも医師の体正面だけの判断で死亡診断書を書いて終わりというケースが圧倒的に多いのです。日本の医療裁判の難しさがそこにあります。しかも欧米と違いに日本は火葬しますから、アメリカのように遺体を後から掘り出して調べることもできないのです。 白鳥の言う解剖前MRI検査(Ai)というのが実際にどの位行われているのかは分かりませんが、いずれそうしたことも必要な世の中になるかもしれません。 そう思っていたら、海堂氏が『死因不明社会』(講談社ブルーバック)を出版し、その中で病死や事故死など病院内で死亡する人は年間に108万人を越えるそうですが、実際に解剖して死因を特定するケースは3万人程度だと書いています。つまり100万人以上の人が病理解剖もされずに「死因不明」のままだと海堂氏は白鳥圭輔の口を借りて指摘しているのです。 おそらくこれは医者としての作者の厚生労働省に対するひとつのアピールなのかもしれないと思っていたら、まさにその通りでした。海堂氏は『チームバチスタの栄光』を始め『ナイチンゲールの沈黙』、『ジェネラル・ルージュの凱旋』、『螺鈿迷宮』と次々と「医療ミステリィ」を書いていますが、どれもがこの『死因不明社会』をテーマにしているようです。 今の厚生労働省は年金問題や薬害肝炎問題などで、それどころではないかもしれませんが、医療過誤死関連中立的第三者期間設置推進準備室などという組織があれば、医療過誤は間違いなく減少するでしょうし、遺族の医療裁判もやり易くなるに違いありません。 まだまだ書きたいことは沢山あるのですが、ネタばれになるので、とりあえずはこの辺で一旦書き終えることにしました。映画が公開されネタばれOKになったら、もう少し肝心な問題を考えて見たいと思っています。 それが分かればあなたは間違いなく白鳥圭輔以上のロジカル・モンスターです!!そういえば、映画の公開は今日彼でしたね〜♪さて、犯人はどのようにて患者を殺したのでしょう・・・?それが分かればあなたは間違いなく白鳥圭輔以上のロジカル・モンスターです!!!。 |
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