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 チームバチスタの栄光(4)

 

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 もう映画も封切られて1週間近くなるので、そろそろ犯人を指摘してもいいころではないでしょうか?先のエッセイでも充分なヒントにはなっていたはずですが・・・

 このブログの「アクセス解析」を調べると「検索ワード」で一番多かったのが「ネタバレ」でした。私としてはヒントを出したつもりが「ネタバレ」と解釈されたのかもしれません。

 しかし、これも先に書いたことですが、この小説『チームバチスタの栄光』は倒叙的な要素を多分に持っている作品だと思います。ある程度のミステリィファンなら物語の途中で犯人は分かってしまうはずです。勿論、ロジカル・モンスターと渾名される白鳥圭輔ならなおさらです。

 この小説の醍醐味は犯人探しではありません。医療チームのメンバーの監視下でいかにして人が殺せるかという謎解きこそが、本当の面白さだと私は思っています。犯人のモノローグはなくてもこれは倒叙小説だと私は解釈しています。

 彼はチームのメンバーを一同に集めて、「この中に、脳幹部近傍に劇薬を注入して患者を殺したヤツがいる。脳幹部近傍へのルートは、エピドラチューブ(硬膜外麻酔)を深く挿入すれば確保できる。衆人環視の中、そんなチューブを入れてルートを確保し、そこに劇薬を注入できるヤツはただ一人。そいつは毒薬を手に持っていても怪しまれない。術中にエピドラチューブをいじっても見咎められない。そんなヤツがここに一人だけ、いる」と断言します。

 「毒薬を手に持っていても怪しまれない。術中にエピドラチューブをいじっても見咎められない」ヤツは麻酔医の氷室貢一郎講師しかいないのです。私は29例目のオペの前に田口がオペ室を覗き、氷室にエピドラチューブの説明を求めた時にピンときました。薬殺ならこれしかないと。

 だって、チームの医師や看護師たちの監視の中で患者を殺せるとしたら薬殺しかないじゃありませんか?オペミスがあれば第一助手か第二助手が必ず気づくはずです。したがって三人の医師たちは白ですよね。看護師が不要な注射をすれば、これもやはり医師が気づきます。臨床工学士が人工心肺を微妙に操作したとしても、その結果は医療用のモニターにはっきりと現われるはずです。臨床工学士が薬品に一切手を触れないことはありませんが、使う薬品が決まっていますから、新たな薬物をそれに注入することも難しい。

 残るは、直接オペに関係していない基礎病理学教室の鳴海涼助教授か麻酔医の氷室しかいない。鳴海医師はあくまで病理医なので、直接オペにはタッチしません。オペにタッチしない医師が患者を殺すことは不可能でしょう。
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 しかもこの鳴海という医師には作者の海堂氏がダブります。特に義兄の桐生助教授に盛んに患者の解剖を勧めていたのは彼本人なのですから・・・海堂氏は『死因不明社会』の中でも繰り返し「死亡時医学検索」の重要性を説いています。

 単純に解剖といってしまえばいいのでしょうが、解剖には3種類あるのです。殺人などの疑いがある場合には警察が検視官に検視解剖を依頼します。また、死因不明の病院以外での死者は、行政解剖を地元の監察医が行うことになっているのです。このどちらも解剖には法的な根拠があるため、家族の承諾は不要です。

 ところが病院内で患者が死亡した場合、医師が患者を強制的に解剖することは許されていないのだそうです。必ず遺族から「解剖承諾書」を提出してもらわないと解剖ができないということです。遺族の気持ちを考えると「解剖承諾書」を書いてもらうことは医師にとってかなりのストレスになるのだと海堂氏は『死因不明社会』の中で述べています。これは遺族にとっても同じでしょう。そこで医師は、体表だけ見て「心不全」ですと言って「死亡診断書」を書いてしまうのだそうです。

 『医龍』の中でも教授の指示で使っていたペースメーカーの不具合で、何人もの患者が「心不全」の一言で片付けられていたというシーンを思い出します。海堂氏に言わせれば「心不全」は病名とは言えないのかもしれません。

 聖路加国際病院長の福井次矢医師が、京大医学部付属病院勤務時に報告した論文を紹介し、福井医師等は、解剖症例2784例中、「臨床診断」と解剖施行後の「病理診断」の一致率は88.3パーセントだと報告しているという実際例を挙げ、海堂氏は「その症例に解剖施行した場合、12パーセントの症例で診断が変った」と驚きを述べ、「つまり解剖を行わなければ1割以上は誤診をしているのである」と結論付けている。

 つまり、海堂氏の分身は白鳥でも田口でもなく鳴海だったことになる。それだけ解剖の重要性を知っている医師が、解剖で結果が分かる、つまり犯行が露呈するような愚かな真似をするはずがないのです。
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